「地立おもしろい学校」(以下、おも校)は、お笑いの学校ではありません。 デザイン教育実践校として、「まなびをデザインする」というコンセプトのもと、多種多様なクリエイター達が共同で運営する教育プロジェクトです。

「おもしろい(面白い)」という言葉の語源は、暗くて長いトンネルや暗闇から抜け出して、目の前(面)がパッと明るく(白く)なること。 わからなかったことがわかった時に自然と出る笑顔は、学ぶことやわかることの「おもしろさ」に出会えた証です。

ちなみに「地立(ちりつ)」とは、公立でも私立でもなく、子ども達を地域で育てていく学校という意味でつけたオリジナルの呼称です。 かつての日本は、それこそ地域全体が学校でした。 算数も国語も社会も理科も、必要なことは全部、地域全体で学ぶことができました。 時代は回り、かつてのそんな風景が今また重要なことを教えてくれている気がします。

近年、少子化で子どもの数が右肩下がりに減っているのに対し、不登校児の数は右肩上がりに増えています。 このいびつな現象は、「困った子ども」の増加ではなく、「困っている子ども」の増加であり、「弱い」のではなく、変わり続ける「時代」、変われない「社会」、どっちつかずで中途半端で旧態依然な「教育」、「居場所」であるはずが「異場所」になってしまった「家庭」、それぞれのバランスが大きく崩れ、ズレてしまったことで生じた歪(ひず)みを敏感に感じ取っているに過ぎません。 不登校(学校へ行けない)なのか、それとも非登校(学校へ行かない)なのか、その見極めもとても大切です。 もしも自分の子どもが学校へ行けないとなった時に、学校へ行きたいけど行けないのか、学校へ行かない選択をしたのか、親がその判断を間違えると、その子を救いたいと思っているのに、逆にどんどん追いつめてしまうことになりかねません。 そしてそんな子ども達は、それをどう表現すればいいのか、どう説明すればわかってもらえるのかがわからない。 自分でも理解できないこと、誰にも理解してもらえないこと、それがどれほど苦しく辛いことかを想像することは決して難しいことではありません。

学校、勉強、友達、いじめ、家庭、親、不安、いらだち、自己嫌悪、などなど、様々な原因によって心を暗闇で覆われ、学校へ通うことも、学ぶこと自体にも気持ちが向かず、やがて暗くて長いトンネルや暗闇に閉じこもってしまう子ども達。 もちろん、学校へ通うことだけが正しいことではなく、でも、だからといって「学ぶ」ことまでやめてしまうのはもったいない。 本来、学ぶことは楽しいことであり、分からなかったことが分かるようになることは「おもしろい」ことのはず。 そして「おもしろい」とは、自分の人生を照らす光であるはずです。




おも校は、地域とデザインとクリエイティブの力を掛け合わせて、おもわず口が真ん丸に開く驚きの体験を生み出す場所であり、学ぶこと、見つけること、知ること、わかることのおもしろさを、子どもも大人も一緒になって、遊んで学んで見つけていくための、ちょっと変わった小さな学校です。

おも校には校則や宿題はありません。 子どもも大人も一緒になって、遊びながら学び、学びながら遊ぶ。 おも校では、この「遊び」を学びの大黒柱と捉え、様々なカリキュラムを実践しています。 おも校のスタッフが最初に取り掛かるのは、それぞれの子ども達の「笑いのツボ=その子どもが最も興味を示すポイント」を見つけ出すこと。 その子特有の笑いのツボに合わせて、その笑いのツボを活用して、その子に適した遊びや学びをサポートしています。

はじめからそこに「おもしろい」があるのではなく、みんなの「おもしろい!」が少しずつ積み重なっていくことで、やがてステキな「おもしろい学校」が育っていきます。 きっと私たちの誰もが、自分の未来を自由に創造できるはず。 そのために、色んなモノやコトを見つけて、知って、学んで、わかって、そうやって目には見えない風をつかまえて、少しずつ、自分のペースで育っていく。

「地立おもしろい学校」というプロジェクトは、小さな学校の大きな挑戦であり、みんなの夢見る心を風や力に変えて進む希望の船であり、そして何より、お気に入りの部屋着のような場所でありたいと思っています。






おも校は「デザイン教育実践校」です。 デザイン教育実践校とは、クリエイティブやデザインの「視点」と「考え方」をフルに活用した教育スタイルを実践している学校のこと。

デザインは見た目をかっこよくするための「装飾」のためだけにあると思われがちですが、デザインの本来の役割は、様々な問題の本質を見出し、それらを見事に解決することです。 そして、それを可能にしているのが、「デザインの視点と考え方」。 この「デザインの視点と考え方」は、企業活動やビジネスの現場だけではなく、様々な問題や課題に直面する私たちの日々の暮らしにおいても、問題の本質を見出し、それらを見事に解決するツールとして大変役に立つものです。

これまで、公立または私立の小中高にて、「デザインの視点と考え方」を伝える特別授業を何度も開催してきました。 身近に子ども達と接する機会が増えるたびに、子ども達のまわりには、成績、学力、いじめ、人間関係、家庭環境、将来への不安、目に見えぬプレッシャー、などなど、解決すべき問題が山積していることを実感してきました。




その反面、小中高での特別授業を通して、子ども達がひとたび「デザインの視点と考え方」に触れた時、それまで見えなかったものが見えるようになり、まるで迷路を上空から眺めているかのような大きな視点や、「A」と「B」しか選択肢がないと思い込んでいた子ども達が、そこに新たな解としての「C」を自分で生み出していく考え方を手に入れ、口を大きくあけて驚き、目をキラキラと輝かせて、まさに目の前のキリが晴れていく様子を目の当たりにしてきました。

意匠や美的や空間の感覚だけでなく、行動経済学、心理学、哲学などなど、様々な要素を内包する「デザイン」の手法は、教育の現場においても万能ツールとして効果を発揮し、特に海外では、教育の現場が抱える問題の解決にデザインを活用しているケースは少なくありません。

デザインが「できる」ではなく「わかる」ことで、子ども達が自ら学び、自分たちの手で明るい未来を創造していく術を手にいれることができるようになります。 「自分」を見つけ、「伝える」ではなく「伝わる」表現を身に着け、そうしてはじめて、本当の意味で「相手」を知ることができる。 特に子ども世代において、それらは「遊び」の中でこそ身に付きやすく、それこそが、おも校が「遊び」という行動をとても大切にしている理由です。

おも校では、夢中になれる様々な「遊び」の中で、いつの間にか「デザインの視点と考え方」に触れることができる独自の教育スタイルを実践しており、子どもも大人も一緒になって、遊びの中から「学ぶ」ことの本来のおもしろさや楽しさに出会える、そんな環境づくりを大切にしています。